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胃癌病変描出を空気量の多寡,造影剤の付着および撮影,読影との関係について思考してみます。空気量の多寡は早期癌を極早期癌と典型早期癌とに大別して,比較検討します。極早期癌は一部の局在部位を除けば空気少量から空気中等量の二重造影像が癌病変描出に適しています。典型早期癌は空気中等量から空気過伸展気味でも描出できます。すなわち,早期癌描出には空気量の多寡が大きく影響します。どの程度の空気量が病変描出に適しているか,一般的なことは言えても厳密には言い表せません。表現できないからこそ,空気量を変化させて撮影する必要が生じてきます。
次に,造影剤の付着について述べますと,胃X線写真は綺麗なX線写真と質の良いX線写真とに大別できます。綺麗なX線写真で極早期癌の発見は困難なことが多いと思います。すなわち,綺麗なX線写真と質の良いX線写真は基本的には乖離がみられます。綺麗なX線写真を胃小区像に例えて表現しますと,胃小区の1つ1つが一見,明瞭に表れ大部分が識別可能です。但し,厳密には胃小区像は大きさ,形,配列などが比較的にみられる場合と,微細な胃小区間溝が表れる場合とは必ずしも一致しません。ル-チン検査では胃小区像の大きさ,形,配列などを描出することは比較的に可能ですが,微細な胃小区間溝の肉眼像と一致させて描出することは比較的に難しいと思います。詳細に述べますと,胃小区の変化所見は二次元的な手法で一部を表すことが可能です。その手法に加え,胃小区の表面に薄く(淡く)造影剤を流しますと,胃小区の大きさ,形,配列などの変化以外に凹凸所見がみられるようになります。これらの変化は三次元的(立体的変化)手法と表現でき,二次元的,三次元的手法の組み合わせにより良好な病変描出が得られること,それを質の良いX線写真とよんでいます。要は,二次元的(平面的)および三次元的(立体的)な手法により病変描出の十分なX線写真を質の良いX線写真と表現できることになります。
撮影と読影は“鶍の嘴”の如く言われますが,その原因を思考しますとやや曖昧模糊と言わざるを得ません。その原因の1つは,最初に撮影の指導を受け,後に読影を学ぶため,読影が難しく撮影が容易であるかの如く間違いに陥っていると考えられます。読影は撮影で描出された変化所見以外を読むことはできません。すなわち,いくら読影が優れていても,撮影で描出されていなければ例え典型早期癌でも発見することが難しいと思われます。逆も真であり,いくら典型早期癌が描出されていても,読影ができなければ次の検査に進むことができません。突き詰めれば見逃し例という良くない結果が生じます。同様なことですが,極早期癌がX線写真上に描出されているにもかかわらず,読影が未熟なため発見ができないこともあります。要は,撮影が秀でているにもかかわらず,読影が未熟であったり,逆に読影が秀でているにもかかわらず,撮影が未熟であることは,どちらとも未熟であると言わざるを得ません。撮影と読影は表裏一体の関係であり,撮影は読影に,読影は撮影に包括されていると言っても過言ではありません。それらのことを解決するには,技術的な経験を積む,視覚的な知識を蓄積する,物の見方,考え方および姿勢を学ぶことが必要となります。また,ある程度の修羅場は避けてとおれないことも事実です。
以上のことは,浅学菲才および微々たる経験から得た論究をもとに,自戒のために記載したものです。早期胃癌を発見するためにはこれらのことを考えながら自ら習練する以外,近道はありません。
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